23 Feb 2010    感情は鈍麻しない

超高度情報化社会には「マニュアル」が不可欠ですが、なぜだかそれを好まぬ性格ゆえ、いにしえのエロ本編集なんぞに憧れ、しかし挙句の果てに当のエロ本業界からマニュアル的にリストラされたわけなのですが、奇しくも転職した先がマニュアルの権化・介護業界でありました。
もちろんカオスな現場をマニュアル的に管理することは必要不可欠だし、整ってないと何も始まらないのも事実です。ですが、これはマニュアル化できないんじゃないか? と最近、思ったことがありました。
またまたオジキの話で申し訳ないのですが、彼は人生の半生以上を「氣」を遣う仕事で成して来た「氣遣いの鬼」のような方なので、本能的にか、その場の空気に行動や発言を合わせることが多いのです。
時に、かしましい女性利用者たちが口やかましく喧嘩をし始めると大人しく机(椅子ではないのがオジキ・オリジナル)に座り込み、喧騒が静まるまで黙って目を瞑っている。現役の頃ならそういった粗相をされた輩には女子ども関係なく一喝したと思われるところなので、僕ら職員や他利用者の「どうか暴れないでください…」という「氣」を彼なりに感じていての「だんまり」なのかな? と思わずにはいられません。
認知症という病は、身体や脳が衰えても感情は鈍麻しないんだそうです。というか、それは、認知症ではない爺さん婆さんだって同じことで、人間のフィジカルとメンタルな面はもちろん別個という証左なのです。その当然を見落とし、彼らの感情までも忙しさにかまけてマニュアル化しようとしていたことが身につまされた今日この頃。
というのは、正午に出勤しオジキに昼メシをマンツーマンで食べさせ(最近は座って食べてくれるようになった)、利用者が増えたのでオジキ以外にも食後の「口腔ケア」を見なければいけなくなったので、以前はしなかった「薬の仕込み」を食事の最中にして、薬が利いてきた頃に寝床を作り、眠らせて布団を掛けたら、さぁお昼寝タイム♪ いっちょあがり! という塩梅をここ4ヵ月くらい続いていて、完全にオジキを意のままにしているキブンでいて、まぁ要は調子に乗ってたんです。
それが最近、奇しくもマニュアルを作成している職員から「それはやっちゃいけないよ」と言われ、ハッと我に帰りました。
何をやってるんだ。。氣を遣いまくってきたオジキに対して感情面でもマニュアル化の対処をしてどうすんのか、したところでお前は本当は何がしたかったのか、と。
「介護職員ありきの介護業務のマニュアル化」は、もちろん利用者のためにあらず。そういった視点で見てみると、こちらがマニュアル化しているのを、彼が氣を遣われて見透かしていて、「あ、メシ喰ったから次は寝るのね。ま、いつものパタンか…」と思われているようでいて、さらに従うことで、なおさら気を遣わせているんではないだろうかと思えてくる。そこまではないにしても、「…ち、おもしろくねぇな! …でも、まぁ、食べさせてくれるし、しょうがねぇかなぁ」という心持ちで寝ているフリをされているのかもしれません。
というわけで、奇しくも自分のマニュアル化嫌いを、なんと利用者に強いている状況を客観的に見られる良い機会ができたので、今後はまた初心に戻って手探りな状態を楽しもうと思います。
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